2025年8月16日

手に汗握る展開ではなかったけど

M. W. クレイヴン(M. W. Craven)という作家の「ワシントン・ポー」シリーズ7作目「The Final Vow」を読み終えました。


このブログを読み返すと、6作目「The Mercy Chair」について書いたのは昨年の6月9日です。あれから1年以上も待ちに待った7作目でした。

8月14日の木曜日が発売日でしたので、アマゾンの電子書籍キンドル本を予約購入していました。14日の朝起きたら、キンドルアプリに届いていましたので、早速読み始めました。

さて、この7作目「The Final Vow」ですが、このシリーズの魅力である主人公の刑事ワシントン・ポーとその右腕である天才的データ分析官ティリー・ブラッドショーのファンである方なら楽しめるストーリーだと言えるでしょう。

6作目の終わりに主人公達が所属する英国犯罪対策庁(NCA)の重大犯罪分析課は解体されましたが、その後それぞれ別の職場で異なる仕事をしていた主人公達が再びチームを組んで捜査に当たることになる過程は読んでいて楽しかったですよ。

ただねえ、この作品は6作目ほどの「ページ・ターナー」(Page Turner)ではなかったです。「ページ・ターナー」というのは、「めくる手が止まらない」すなわち「読み出したら止まらない本」ということですけど。

「ワシントン・ポー」シリーズの作品は、緻密な構成と巧妙な伏線で読み進めていくうちに何度もあっと驚かされて「そうだったのか」と感心し、手に汗握る緊迫感と思わず声を出して笑ってしまうユーモアの緩急、そしてたたみかけるように展開するストーリーで、まさに読むのを止められなくなるのです。特に6作目はそうでした。

7作目「The Final Vow」は早い段階で犯人が分かり、どうやってその犯人を捕まえるかというストーリーになるんですけど、たたみかけるように展開するはずの場面が、結果が分かった後で説明のように展開するから緊迫感がないと言うか。

読後感は、軽い娯楽小説を読んだって感じでした。楽しみましたけど、6作目のように読み終えた後にずっしりと心に残るようなストーリーではなかったです。


過去の作品に登場したキャラクターが何人もストーリーに絡んで来ますから、「ワシントン・ポー」シリーズを全部読んで来た人はより楽しめると思いますよ。

和訳が出版されていない「アヴィソン・フルーク」(Avison Fluke )シリーズの主要登場人物の一人も重要な役どころで登場します。

「アヴィソン・フルーク」シリーズは、「ワシントン・ポー」シリーズの前に書かれたM. W. クレイヴンの初期作品で、2作品しか出版されていません。このシリーズのために書きためていた構想やアイデアを元にして「ワシントン・ポー」シリーズを書いたそうです。

7作目「The Final Vow」を待っている間に「アヴィソン・フルーク」の2作品を読んだのですが、M. W. クレイヴンの文章力というか表現力はまだ未熟な感じがあります。ストーリーの展開もキャラクターの造形も「ワシントン・ポー」シリーズに比べると今一つで、大ヒットしなかった理由が分かりました。

それでも、7作目「The Final Vow」には「アヴィソン・フルーク」の2作品を読んでいなかったら分からなかったであろう主人公達の会話もありましたからね、読んでおいて良かったですよ。

聞くところでは、「ワシントン・ポー」シリーズは次の8作目が最後になるそうです。8作目は来年の12月出版ということなので、また1年以上待たなくてはいけません。最後の作品になるのなら、今度こそ、ワシントン・ポーの出生に関わる件が解決するのではないかと期待します


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