昨年10月に一時帰国していた頃から見続けて来たNHKの朝ドラ「ばけばけ」が、昨日で終わりました。「ばけばけロス」なんて言葉も耳にしていますが、私はドラマが終わってしまった寂しさは感じていません。良いドラマを観たという感動を感じています。
最終回前日の段階で「あと1回で終われるのか?」という心配な状況だったわけですが、最終回の15分間で見事な展開となり、「ばけばけ」らしく笑いと涙の両方で胸が一杯になりました。おトキちゃんとヘブンさんの笑顔で終わったのは本当に良かったです。
このドラマは、登場人物達のつらい現実や苦労を見せはするものの重たくなり過ぎず、いつもどこかに救いがあり、笑いがありました。史実に基づいた物語でしたが、史実とは少し違って「ああ良かった」と思える方向に展開した部分にはホッとしました。
125話のうちには、正直言って「だるいな…」と思うような回もあったんですよ。余りにもどうでもいいような出来事を描くから、「こんな話にダラダラと時間を使って何か意味があるのか?」と思ったりもしたんですけど、最終回を見終えて思うことは、そういう出来事もおトキちゃんが生きて来た日々の一部だったんだということなのでして。
自分自身の人生をふり返っても、他愛もない出来事がたくさん起きましたけど、そういう出来事が懐かしく、そして愛おしく思い出されたりもするわけです。
「ばけばけ」は、脚本も演出も美術も音楽も素晴らしかったことは言うまでもありませんが、やはり演じた俳優さん達が素晴らしかったです。主人公のおトキちゃんを演じた髙石あかりさんは、演じているとは思えないほどおトキちゃんそのものでした。
トミー・バストウさんはとてもチャーミングで、誰もが好感をもってしまうヘブンさんを上手く演じました。映画「国宝」での演技が見事だった吉沢亮さんは、「どうしてこんな役を引き受けたんだろう?」と途中までは思っていたんですが、錦織さんの人間味と複雑な感情を見事に演じられました。
おトキちゃんの家族は、松野家も雨清水家も、皆さん素晴らしかった。特に素晴らしかったのは、育ての母親のおフミさん。頼りない司之介だって、おトキを大事に思う愛情深い父親でした。
おトキちゃんの家族は、本当にお互いを思いやる優しい人達で、最初から最後まで一貫しておトキちゃんを愛して大事にする人達でしたね。俳優さん達が演じているとは思えない、本当の家族のようでした。とことん温かい家族関係は、観ている私を幸せな気持ちにさせてくれました。
親友おサワちゃん、ヘブンさんに怪談「水飴を買う女」を語ったお寺の住職、ヘブンさんの生徒達、書き出したらきりがない。心に残る登場人物ばかりです。借金取りさえ人間味がありました。演じた俳優さん達が、皆さん素晴らしかったです。
このドラマを最後まで見続けたのは、物語から伝わって来るものが肯定的だったのが大きいと思います。「神回」とも呼ばれる心に残るエピソードがたくさんありました。最終回を前にちょっと心配しましたけど、エンディングは幸福を感じる素晴らしいものでした。
こんなに長く毎日毎日楽しみにして見続けたドラマは、本当に久しぶりでした。オーストラリアに帰ってからも見続けられたのは私の妹のおかげなので、この場を借りてもう一度お礼を言いたいと思います。ありがとうございました。
何も起きない平凡な自分の暮らしの、どうでもいいような他愛もないことが大事に思えるようになったのは、「ばけばけ」の影響です。そんなドラマを作って下さった皆さんにも、ありがとうと申し上げたいです。
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