2012年8月1日

耳を疑ったことば

ホールデンという自動車メーカーは、日本ではあまり知られていない。オーストラリアのメーカーで、19世紀にアデレードで馬具を製造していた会社が起源なのだそうだ。

ウィキペディアによるとゼネラルモーターズ傘下ということであるが、私は車のことは良く分からない。ホールデンのことも、オーストラリア唯一の自動車メーカーだということと、オーストラリア人の一般大衆には結構人気ががるらしいということしか知らない。

結構人気があるらしいというのは、日本車が席巻しているメルボルンでも良く見かけるという理由からである。

特に、以前勤めていた会社があるメルボルン東南部の工場や倉庫が立ち並んでいるような地域では、ホールデン車を見かける確率は高かった。労働者クラスの普通のオーストラリア人に人気のある車であるらしい。

さて、私の友人がホールデンのキャブティバという新車を買った。サンルーフ付きの、コンパクトに見えてパワフルな、真っ白のカッコイイ車だ。以前に乗っていた日産車がちょっと大きすぎたので、少し小さめの車に買い換えたのだと言う。(彼は、しょっちゅう買い換えている。)

「で?新しいホールデンは、どうなの?」
「ホールデン?ああぁ...、アフターサービスはなかなかだよ!」と、彼は話し始めた。

このまっさらピカピカのキャプティバを買った翌々日のことである。彼はある所に出かけた際にサンルーフを閉め忘れた。運よく屋根の下に止めていたので、雨で新車のインテリアが濡れなかったのは幸いだった。

彼は、「おかしいな...」と思った。

キャプティバの前に乗っていた日産車は、エンジンを切った時にサンルーフが開いていた場合、自動的に閉まったのだ。

エンジニアの彼は、エンジンを切ると自動的にサンルーフが閉まる仕組みをよく知っており、ワイヤーの接続に問題がおきているのかも?と思った。

そこで、彼は2日前にそのキャプティバを買ったリリーデイル Lilydale のホールデン販売店へ行った。

店に入って事情を話すと、店の裏にあるサービスセンターに行ってくれといわれた。定期点検や修理などをやってくれるサービスセンターは、ほとんどの販売店と同じ建物又は敷地内にある。

彼は、サービスセンターに入って行き、受付の女性に事情を説明した。メカニックの男が呼ばれた。

彼は、またそのメカニックに事情を説明した。サンルーフが自動的に閉まらなかったのは、ワイヤーの接続の不具合なのか、もともとそういった機能がないのか調べて欲しいと友人がたずねると、メカニックはなにやらマニュアルらしい本をパラパラめくっていたが、信じがたいことを口にした。

ええ、もう信じられないと思いますけど、メカニックの男が言ったことを正確に日本語にすると、こう言ったんです!

「たぶんねえ、ロードサイド・アシスタンスに電話した方がいいんじゃない?」

友人は耳を疑った!

ここで、ちょっと説明しますとですねえ、ロードサイド・アシスタンスとは、エンジンがかからないとかバッテリーが上がったとか走行不能になったとか緊急事態発生時に、応急処置や緊急修理や車両の搬送など、電話一本で救助にやって来てくれる頼もしいサービスです。

「ロードサイド・アシスタンスに電話しろ?わずか2日前に、この店でこの新車を買ったばかりで、その店のサービスセンターの前にその買ったばかりの車を止めて、サンルーフが閉まらないからちょっと調べて欲しいと頼んでいる私に、ロードサイド・アシスタンスに電話をしろと言うことしかできないんですか?」

「分からないんなら、調べますからちょっと時間をください。わかり次第お電話しますと、言うべきでしょう!」

友人は怒りを必死に抑えながらメカニックに言った。

「それすらできないんなら、せめてあなたがロードサイド・アシスタンスに電話して、対処方法を聞きなさい!」

結局、このメカニックは調べた。そして、分かったのは、ホールデンのキャプティバには日産車のように「エンジンを切った後に閉め忘れたサンルーフを自動的に閉める」という機能がないということであった。ワイヤーの不具合が原因ではなかったのだ。

友人は、二度とリリーデイル Lilydale のホールデンで車を買うことはないであろう。もしも、皆さんの中に、リリーデイル Lilydale のホールデンで車を買おうと思っている方があったら、ご注意ください。ここです。


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