現在、オーストラリアの連邦政府司法長官を務めるニコラ・ニクソンが保健相だったとき、彼女はたばこ会社にとって世界最強の敵であった。
肝のすわった抜群のリーダーシップで次々に保健改革&プロジェクトを実行した中で、私が最も「すごいなー!やるなー!」と感激したのは、たばこの箱の厳格規制法案を議会に提出した時だ。
「プレーン・パッケージング」と呼ばれるもので、たばこ会社がたばこの箱に購買意欲をそそるようなデザインを施すのはもちろんのこと、ロゴすら入れられなくするもの。
たばこの箱は、全てカーキ色の無地とし、たばこ会社は商品名と社名を、決められた色、書体、サイズの文字で決められた場所に入れることが許されるだけで、マークもロゴも入れてはならない。
こうした統一無地パッケージに加えて、箱には喫煙が健康に及ぼす害について非常に強烈なインパクトのある写真付き警告を印刷する義務があるのだ。
それがこれ。
政府側には、「たばこは人を殺すものであるから、禁煙政策で政府が何をしても間違っていない!」とする断固とした姿勢がうかがわれたが、当然たばこ業界は猛反発した。
そりゃあまあ、企業にとってブランドは商品価値を左右するものだし、こんな世界にも例を見ない規制が行われれば企業利益に関わる死活問題であろう。法案が議会を通ったら、すぐさま提訴すると批判した。
しかし、当時のロクソン保健相は、「たばこ会社は、オーストラリア国民の生命よりも自分たちの利益を優先している。自分たちこそ訴訟中毒を治してはどうか。」と反論。政府はこの法案について包括的な法制答申を受けており、訴訟で負けることはないと絶対の自信であった。
「かっこいい!」「オーストラリアの政治は、なかなかやる!」と、私はますます感激した。
そして、法案は、昨年11月に連邦議会において賛成多数で可決され、たばこ会社はすぐさま連邦高裁に提訴!企業の商標その他の知的財産を商品から削除することは憲法に反すると主張した。
今日、その裁判の判決があった。法案は憲法に反してはいないとの判決で、「政府の勝ち!」というか、結果的には健康に大きな害を及ぼす「たばこの負け!」ということは「国民の勝ち!」ということになる。新法「The Tobacco Plain Packaging Bill 2011」は、連邦総督の裁可を受ければ12月から発効するそうだ。
オーストラリアでは、たばこの自動販売機も設置可能な場所が厳格に規制されており、子どもでも簡単に買えるという状況は存在しない。多くの人は、小売店やスーパーで買い求めるようだ。先日、小さなスーパーで私の前に並んでいた人がたばこを買っていたので、聞き耳を立てて聞いていたところ、なんとその人が買ったたばこは1箱が20ドル近い値段だった。
1箱20ドル!これって、結構な値段ですよねえ。
テレビでは、政府の禁煙キャンペーンのCMが毎日頻繁に放送されているし、連邦政府も州政府も禁煙ウェブサイトを運営しており、ヤメロ!ヤメロ!と言うだけでなくたばこをやめたいと思う人をサポートしている。しかも、英語以外の様々な言語でサポートしてくれる。学校での禁煙教育もしっかり行われているし、オーストラリアの喫煙者人口は徐々に減ってきているのは紛れもない事実だ。
ところで、この人が現在連邦政府の司法長官を務めるニコラ・ロクソン。ちゃんと仕事ができる政治家です。
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日本では、何も動かない。
返信削除「人を傷つける表現の自由はない」と大手新聞が堂々と書くところは駄目ですね。
日本人をやめたかった理由の一つに、日本の政治というのがありました。変わらない社会、変えようとしない人々、変えようと行動を起こす人は叩かれる。
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