尻に火がついた状態になっていた不法難民対策問題が原因だ。
オーストラリアは世界的にも多くの難民を受け入れている国であるが、労働党政権になってから「人道」「人権」を尊重するあまり違法難民対策が弱腰となり、ボート難民が押し寄せてくるようになった。
その多くは、アフガニスタン、パキスタン、イラクなどの紛争地帯を逃れて命がけでやって来た人々だが、貧困国から豊かな生活を求めて裕福なオーストラリアを目指す人々も大変多い。それらのボート難民は、インドネシアやマレーシアを経由して、密航業者に大金を払って荒海を乗り越えてやって来るのだ。
インド洋上にクリスマス島という小さな島がある。地図で見ればインドネシアの首都ジャカルタのすぐ南のあたりにある。このクリスマス島はオーストラリア領であり、彼らが目指すのはこの島だ。
小さな黒い点がクリスマス島の位置 |
オーストラリアは、密航を企てた不法難民であっても、彼らを本国に送り返すことはしない。(ボートでやって来ずに、不法滞在していると送り返されるけど...。)国によっては、死刑または重刑に処されることがわかっている場合、人権保護の視点から彼らを難民認定希望者として、正式に認定されるまでのあいだ収容施設で保護するのだ。
現在、オーストラリア国内の様々な場所にこうした収容施設があり、多くの難民は長期間そこで生活しながらビザが発給されるのを待つわけだが、今やこうした施設の収容能力は限界を超えている。そして、しばしば、不法に密航してきた彼らが、拘束生活の不満を募らせて暴動を起こしたりする。
前自由党政権は、「人種差別者」「人権無視」と批判されても、違法難民には断固とした強い姿勢で対応していた。
彼らの意思をくじくために、彼らをオーストラリア本土から遠く離れたパプアニューギニアやナウルに建設した施設に収容したり、受け入れを拒否したり、自主的に本国に帰る者には金を与えたりもした。
こうした前政権の政策を批判していた労働党が政権を握ると、パプアニューギニアやナウルの収容施設は閉鎖され、不法難民対策も二転三転しているうちにボート難民が激増した。難民問題に限って言えば、現政権のギラード首相は全く無能である。
議員達は、今や切羽詰って、与党も野党も対立している時ではないとばかりに対策を協議しいる。労働党は難民をマレーシアの施設に収容するという案をあきらめ、野党の主張していた前政権が建設した施設のあるナウルに収容して審査をおこなうという案に落ち着きそうだ。(もう決まったかも...。)
しかし、労働党と選挙協力を続けてきたグリーンズは、国内での審査および難民受入数の増加を主張しているし、どうなることか。
労働党議員は、海外での審査は、ボート難民を減らすことすなわち遭難で難民たちが命を失うのを止めるためだと、世論の批判をかわそうとしている。
はっきり言って、世論はボート難民に同情的というよりも、とにかくボート難民が海を越えてやって来ないようにすることが大事という感じである。不法にやって来たくせに自国に送り返されもせず、保護してもらい食べさせてもらい、テレビも冷蔵庫も洗濯機もコンピューターもある施設で安全に生活させてもらっておきながら、時間がかかりすぎると不満を爆発させたり、暴動を起こしたり、ニュース沙汰の問題を次々と起こす彼らに不快感でいっぱい!自分達の税金が、そんな不法難民のために使われるのは我慢ならない!そういう声のほうが強い。
もっと言えば、非白人の移民が増えすぎていると感じている人が多い。人種差別経験者の私には、オーストラリア人の本音というのが結構分かるのだ。
ああ、くれぐれも言っていきますけど、オーストラリアは日本なんかとはもう比べものにならないほど多くの移民と難民を受け入れていますよ。
現在、政府が野党とも協力してやろうとしていることは、難民希望者達が、命を失う可能性の高い、しかも業者に大金を払わなければならない「危険な密航」ではなく、国連の組織などを通した正規のルートを選択するよう思い直させることなんだそうですが...、難しい問題です。
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