2025年11月14日

へその緒はどうなったのか?

日本から帰って来てすぐに病気になり寝込んでいたせいで書く機会を逸していましたが、今日の話題は「へその緒」(Umbilical Cord)のことです。

「へその緒をオーストラリアへ持ち帰る」という記事に書いた通り、実家に帰った際に母から私のへその緒をもらったんです。母は、私達3人姉妹のへその緒をそれぞれ長年大事に保管してくれていたんですよ。

「へその緒があるけど欲しいか」と聞かれて、私は「いらない!」と即答したんですけど、うちの娘が欲しいと言うのでメルボルンに持って帰ることにしたんです。

しかしね、へその緒など持ち込めないだろうと最初は思いました。オーストラリアの検疫は厳しいんです。動物性の物の持ち込みは厳しく規制されているんです。検疫で廃棄処分になるのが落ちだとは思ったんですが、とりあえず持って帰ることにしました。
 
さて、オーストラリアへの入国の際には、入国カードというのを提出しなければなりません。これはオンラインで行うことは出来なくて、いまだに紙のカードにボールペンで記入しなくてはいけません。老眼で小さな文字が見えない私には大変な作業でした。

入国カードは機内で配布されます。税関申告書も兼ねていて、持ち物に関する質問があります。持ち込みが禁止あるいは規制されている食品、植物、動物製品、医薬品などを持っている場合は、該当する項目の「はい」に印をつけて正直に申告しなくてはいけません。

へその緒がどれに該当するのかよく分からなかったので「動物の一部」の項目に印をつけました。

入国カードで「はい」に印を付けていた私は、入国審査の後で検疫に行くようにと指示されましたが、検疫に並んでいる人など私以外に誰一人いませんでした。

係官に「何を持っているんですか?」と聞かれて「私のへその緒です」と答えたらびっくりされました。その係官は、へその緒を持っていると言う人に遭遇したのは初めてだったようです。

日本にはへその緒を保存する習慣があることや、これは自分のへその緒で私の母が65年も保存してくれていたものだということを説明すると「どういう状態ですか?」と聞かれました。乾燥した昆布のように干からびていますと答えました。

「これをどうするんですか?」と聞かれたので、「何もしません。保存するだけです」と答えました。係官は「おそらく問題はないと思いますけど検査に進んでください」と言い、カードに何やら記入しました。

次の係官にカードを渡すと「人の一部」「食べ物」とのメモが書かれていたらしくて、随分びっくりして変な顔をして「何を持っているんですか?」と聞きました。再び同じ説明すると検査テーブルへ行くようにと言われました。

検査テーブルでは「申告された物」を実際に見て検査します。ここの係官にも同じ説明をしました。へその緒が入っていた和紙を開いて中身を出しました。

「白い粉に覆われていますが、白い粉はベビーパウダーだろうとうちの母は言っていました」と私が言いますと、「ああそうですか」と言っただけで粉が何であるか調べもしませんでしたよ。

係官は、白い粉に覆われたくしゃくしゃの昆布みたいな物をちらっと見ただけで「これは大丈夫です」と言いました。検査はそれで終了でした。「へその緒を見たのは初めてですか?」と私が係官に聞くと、「はい、初めて見ました」と言いましたよ。

というわけで、へその緒をオーストラリアに持ち込もうと思っている皆さん、ちゃんと申告すれば問題なく持ち込めますよというのが、今日の話題でございました。

それにしても、あの白い粉は本当にベビーパウダーだったんですかねえ。


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