2012年12月8日

イタズラ電話で死者が出た

引越しする前の我が家の電話番号は、987654...と覚えやすいのはいいけれど、いたずらには最適の番号であったので、しょっちゅういたずら電話がかかってきた。

Prank Call プランクコールと呼ばれるイタズラ電話は、オーストラリアでは「ある意味許されているこどもの文化」でもあるかのように、夫や友人などは「しょうがないなあ...」と笑って見逃す態度であった。

イタズラ電話をしてくるのはもっぱら子供で、カーペットクリーニングのセールを装ったり、わいせつ系ももちろん多いし、イタズラ電話の内容も結構クリエイティブであって、時には愉快に感じることもあった。

ラジオ番組でDJがイタズラ電話をかけ、電話に出た人の対応を面白がるというのもよくある。

日本でも、「どっきりカメラ」というのがあった。いたずらを仕掛けた相手が驚愕したり驚喜したりするのを面白がる番組で、私は大嫌いであった。

先日、シドニーの2Day FMという人気ラジオ局のDJが、重いつわりで入院していた英国のキャサリン妃のいる病院にエリザベス女王とチャールズ皇太子になりすまして偽電話をかけ、キャサリン妃の容態を聞きだそうとする事件があった。

電話に出た女性看護師は、偽電話と気づかず病棟につないでしまい、DJたちは病棟の看護師から妃の容態を聞きだすことに成功した。

最初に電話に出て、病棟につないでしまった看護師が自殺したというニュースは、もう皆さんご存知だろう。そのため、偽電話をかけた二人のDJは、現在オーストラリアと英国はもちろんのこと、ツイッターやフェイスブックを通して世界中から非難中傷をあびている。

偽電話をかけたDJの二人

しかし、非難するなら二人のDJ以上にラジオ局のディレクターや管理職も非難されるべきだ。

2Day FMは、看護師の女性自殺のニュースの後も、その偽電話の録音音声をラジオで流し続けていた。リスナーの獲得!聴取率のアップ!より多くの広告収入!さらに大きな利益!

そう、すべては金儲けが目的なのである。

偽電話やイタズラ電話は、オーストラリアのラジオ局ではしょっちゅうやっている。オーストラリアの人気コンビ「ヘイミッシュ&アンディ」のラジオ番組でも、恒例のいたずら電話コーナーがあって、こういうのが嫌いな私は聞いていてむかつくのだ。

こどものイタズラ電話ではなく大人による金儲けのためのイタズラ電話の文化そのものが批判されるべきなんじゃないの?


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2 件のコメント:

  1. 日本のどっきり系の番組は大体において仕込みがあって、ドッキリがあるのを知らされているものが多いんですよね。

    しかしこのラジオの企画にしてもそれを何の疑問もなく実行してしまう人は許せませんね。

    自殺の報道があったあとでも、DJの方は、もし私たちのことが原因であれば。なんてまるで自分は関係ないといわんばかりのことをいっていてやっぱり好きに慣れません。オーストトラリアのエンタメ

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    1. プランクコールは、大人も子供みんなやっていることなので罪の意識なんてないでしょうね。テレビにしろラジオにしろ、番組の構成作家というか演出家みたいな仕事の人がいて、DJたちはそれを実行する人たちなわけだから、DJの二人だけが責められるのはよろしくない。

      きっと彼らにも、自分たち二人だけが批判されるのはフェアじゃないっていう気持ちがあるんでしょうね。インタビューでもそれは感じたな。

      やっぱり、もっと根本的な問題がありますねえ。

      ラジオ局の社長が「法律に触れることはしていない」って言ってたけど、病院の許可なく録音した音声を、許可なく放送するって、それは違法でしょう?

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