昨晩は、知り合いの家に夕食に招かれた。ご主人の方は精神科医だったが、和牛に魅せられてからは和牛農場の経営に取り組むも、結局は和牛生産ではなく和牛の精子や受精卵の販売をするビジネスをするようになった人だ。
ずいぶん年下の奥さんは、とっくに定年退職してよい歳だが今でも心臓外科医の秘書として働いている。
このお二人の家に、和牛ステーキの夕食によばれたのだから、我が家の社交性の欠如した子ども達ですら喜んでお招きに預かったわけ。
まあ、それはともかく。
夜遅く帰宅した私達は、思わぬ危機に直面した。
玄関の前で夫がドアを開けるのを待っていると、夫も私の方を見ながら待っている。
「ヒロコ、早く開けてよ!」
「ええっ?私は、鍵持ってないわよ」
「なに言ってんの?家を出る時にドアをロックしたのは、ヒロコでしょ?」(子ども達も一緒になって「What a f***...」と叫んでいる!)
「ロックしたけど、鍵は置いてきた」
「何ぃ?なんで鍵を置いてくる?」(子供たちが「Oh my god!!!」と叫んでいる!)
「あなたも玄関の鍵は持ってるじゃん!」
「玄関の鍵は俺のバンの鍵と一緒にしてるよ!ヒロコの車のスペアキーとは一緒にしていないだろう!」
「そんなこと私は知らないでしょ?あなたが鍵を持っていると思ってるから、私の鍵は持って行く必要がないと思ったわよぉ!」(子ども達の罵り声もうるさくなる!)
お互いを責め合っていてもらちが明かない。
「裏のドアは開いてるの?」(家の裏の洗濯室から外へ出るドアのこと)
「今日に限って、鍵をかけた!」
「F***ing hell!」
息子のカイがすぐに家の裏にまわって確かめると、確かにいつも鍵などかけない洗濯室のドアはがっちりロックされている。
全員が無言...。
「キッチンの窓は開けっ放しにしてきたよ。網戸はスライド式だから簡単に開く」と、私...。
ここで日本の方には、お見せしておかなければなりません。オーストラリアの普通の家の窓がどのような作りになっているか。
窓は、通常このように上部に蝶番が取り付けられており、下側が開くようになっている。
我が家のキッチンの窓は古くて、金具が錆びついているので開けにくいのだが、夫が馬鹿力でガンガンと無理やり引っ張ると人が入れる程度には開くことができた。
真っ暗なので、IPhoneの明かりが頼りである。
「あれだけ開けば、サチなら入れるじゃない?サチは身体も柔らかいし」
「えええっ?わたしがぁ?...... よし、私やる!」
偉いねえ、サチ。
「じゃあ、俺、梯子を取ってくる!」
おお、いつもは気が利かない息子が、このような危機的状況においては、一応いろいろ考えるのだな!
ほぼ真っ暗闇の中を、裏の物置に梯子を取りに行ったカイが戻ってくるのを待ちきれず、背の高い夫がサチを持ち上げることにした。
サチの足を夫が両手を組んで持ち上げる。すぐにサチの頭は窓に届いた。そこからが大変。窓枠に手をかけて身体を持ち上げるサチを、さらに夫が下から押し上げる。
「ちょっと!明かりがないと何にも見えない!」と、サチが叫ぶ。
下からiPhoneで照らしていた私は、iPhoneをサチに渡した。何とかサチは窓をすり抜けて、中に入ることができた。
「カイぃ!もう梯子はいらないよ!」と叫んでいると、カイが梯子を担いでやって来た。
「ああ、カイ、梯子はもう要らなくなった。サチはもう中に入った」
「Oh F***!!!」
「ありがとうね」
そして、中に入ったサチが電気をつけ、鍵がなくても開けられる洗濯室のドアを中から開けて、ああやれやれ私達は家に入ることができたのだった。
良かったなあ、キッチンの窓を開けっ放しにしておいて。もしあそこが開いていなかったら、私達どうしたんだろう...?
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私もlocked outした事があります。そういう時に限って窓って鍵しめてるんですよねー。
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