昨年1000キロ運転旅行に出かける前、私は自分の銀行口座やスーパーアニュエーション(老後のために積み立てていく義務的な貯蓄制度)、税金や健康保険などの管理をする政府のサイト「myGov」のログイン情報や自動車保険や、あれやこれやの様々な情報をまとめたファイルを作りました。
もしも私達夫婦が旅行中に不慮の事故か何かで死んだら、息子と娘が大いに困るだろうと思いましたからね。分からないと困るであろう情報を全て書き出してまとめたんです。
特に詳しく書いたのは、私の死後もインターネット上に存在し続けて欲しいウェブサイトのことでした。私には息子や娘に残せるような財産はありませんけど、このウェブサイトはとても特別なんです。せめて管理ページにアクセス出来るようにユーザー名やパスワードを教えておかないといけないと思いまして。
いろいろ書いていくうちに、ファイルは「遺言」みたいになりましたよ。そのファイルは、USBスティックと外付けハードディスクに保存してあります。
今回の「ポートダグラス」への家族旅行の前にも、旅行に参加しなかったうちの娘に「もしも飛行機が墜落したらこれを見ろ」とファイルの存在を再確認したんですけど。
おそらくそのせいで、娘は一人だけ残された時にどういうことが起きるかを想像したんだと思いますよ。そして、もしも私達両親が死んだら、しなくちゃあいけないことが山程あるけど、知らないことが多過ぎると気づいたのでしょう。
私の銀行口座やスーパーアニュエーションやあれやこれやの情報はファイルにまとめてありますけど、うちの夫の分は何も知らないわけですよ。
言われてみれば、私だって知らないんです。知っているのは、夫が死んだらメルボルン大学に献体するということだけ。どの銀行に口座を持っているのかも知らないし、スーパーアニュエーションのことも生命保険のことも、
な~んにも知らないんです!
旅行から帰った時に娘がリクエストしたのは、このことでした。
私達が死んだ時のことを家族で話し合って、決めておかないといけないことをちゃんと決めて、書類にしておくべきことは書類にして、必要なら法律の専門家にも依頼してちゃんとしておこうと娘が提案したんです。
死後にしなくてはいけない手続きや相続のことだけではなくて、病気や事故で自分では判断が出来ないような状態になった時にどうして欲しいのか。お葬式は本当にしなくてもいいのか。何度か話し合ったことはありますが、きちんと書類にしておこうと言うんです。
大事なことですね。娘に指摘されて確かに必要なことだと思いましたので、近い内に話し合うことになっています。
うちの夫の友人Cさんのお父さんがお亡くなりになった時には、大変困ることが起きたんですよ。そのお父さんは長年会計士をされていた方で、何事もきちんと管理されている方でした。
認知症になられて施設に入る前には、あらゆることを整理しておられたそうです。あらゆる情報をまとめてファイルにしておられたそうです。
ところが、それはお父さんのパソコンに保存されていたんです。そして、そのパソコンは起動させるのにパスワードが必要だったんです。
お父さんは自分が認知症だということを理解されていましたから、パスワードを忘れてしまうと困るので、パスワードを紙に書いて書斎のどこかに保管していたそうですが、Cさんがパスワードを教えてもらおうとした時には、お父さんはパスワードも忘れていたけどパスワードを書いた紙をどこに保管したかも忘れていたんです。
そういう事が起きないように、私はUSBスティックと外付けハードディスクにファイルを保存したんですけど、ファイルに書いてある内容を息子と娘と一緒に確認しておいた方がいいだろうと思っています。
うちの夫にもそういうファイルを作っておいてもらわないといけません。
これをお読みの皆さん、お若い方はこういう事を考えもしないでしょうけど、人間いつ何が起きるか分かりませんからね。私のように配偶者がどの銀行に口座を持っているかも、スーパーアニュエーション(老後のための義務的な貯蓄制度)や生命保険のことも、何も知らないなんてダメですね。
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