2011年9月20日

電車の中は多民族社会の縮図

多文化多民族の街での暮らしについて書こうというのがブログを始めたきっかけなのだから、やはり1回目はこのテーマについて書こうと思う。

メルボルンの多民族多文化性を一番実感するのは、なんといっても電車に乗ったときである。先週、ヘアカットのため自宅から1時間もかかるなじみの美容院に出かけたのだが、この美容院があるサウスヤラという街は交通量が多くて駐車が容易ではなく、私のように車の運転に自信が無い臆病ドライバーは、まず車で行くという選択肢は無い。電車を利用するほうがよっぽど楽で安上がりなのだ。

私の家から車で5分のリングウッド駅からメルボルンへは、2路線がある。メルボルンの悪評高い電車システムについては、またいつか書こうと思うので、ここでは詳しくは書かない。私が乗った電車は、朝のラッシュアワーをちょっとすぎた時間帯だったのでさほど込んでおらず、空いた席を見つけることができた。

さっそく、いつものように車内人間観察を始める私。

すぐ前に座っていたのは、大学生と思われるきれいな青い眼の白人青年とインド人のおじさん。この二人が、ずっと実に楽しそうにおしゃべりをしている。聞いていると、おじさんも大学で環境問題に関係する勉強を始めたらしく、二人は学校の話で盛り上がっている。

すると、私の直ぐ後ろに座っていた人の携帯が鳴った。普通のオーストラリア人と思っていたが、電話で話し始めた言葉は、私には理解できない言葉だった。意味は分からなくても、たいていの言葉は何語なのか大体見当が付くのだが、その人の言葉はヨーロッパ言語であろうと言うことしか分からなかった。

通路の向こうでは、中国系の女の子が二人中国語でおしゃべりをしている。次の駅で乗ってきた人に何か英語で話しかけられて、彼女達はアクセントの無いきれいな英語で返答した。

アフリカ系の女性が二人の幼い女の子を連れて乗り込んできた。私は、その女の子達の髪の毛に目を奪われてしまった。細く縮れた髪の毛を、信じがたい繊細さで編みこんであったのだ。カラフルなゴムで留めてある。一体どのようにして、その長くない縮れた髪の毛をあのように美しく編み組むのだろうか。私はしばらく見とれていた。

大学に近い駅で、前に座っていた青い瞳の青年が降りていった。降りていく前に、インド人のおじさんに、「乗り合わせてラッキーだった。あなたと話ができて楽しかったです。Have a great day!」と丁寧に挨拶をして、かたい握手。私は、その様子を見てとても愉快な気分になった。

メルボルンが近づくにつれて、多文化多民族の度合いがさらに増していく。

私がメルボルンで暮らし始めたころには、すでにベトナムやカンボジアなどの東南アジア系の人が大勢いたが、最近ミャンマーやラオスなどからの移民をよく見かける。この人たちの話す言葉は独特の音があって興味深い。また、私の住んできるリングウッドの街では、アフリカ系の人が大変増えた。紛争や弾圧、飢餓など様々な苦難を逃れて、難民としてオーストラリアへ移り住んできた人がほとんどだ。

朝の電車は急行で、サウスヤラには30分で着いてしまった。
「えっ、もう着いちゃった?」
この日、私は電車を降りるのがちょっと残念な気分だった。


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