このブログは日本にいる私の家族への近況報告的な意味もありますので、今日はうちの娘のことを書こうと思います。
昨年大学院を卒業して臨床心理士となったうちの娘が、今年の2月から勤め始めた心理クリニックを半年もしないうちに辞めた件については何度か話題にしましたが、現在は3つの仕事をしています。
1つは、心理学とは関係のない格闘術「クラヴ・マガ」のインストラクターの仕事で、中高学生のクラスを教えているそうです。頼まれてやっているアルバイトみたいなもので、長くは続けられないでしょう。
臨床心理士としては、司法心理学事務所と心理クリニックで働いています。心理クリニックの方は、メンタルヘルスの悩みや問題を抱える方達の話を聞いて問題の解決をサポートする一般的な心理カウンセリングの仕事です。
興味深いのは司法心理学の方なんですよ。
メルボルンにある司法心理学事務所で働いているんですが、犯罪を犯した人達の責任能力の有無を判断する精神鑑定とか、知的障害や精神障害があると思われる犯罪者達のアセスメントを行っているそうですけど、受刑者への心理カウンセリングもするんだそうです。
そのために、娘は隔週ある刑務所に行っているんです。そこは10年ほど前に暴動があってニュースになった刑務所です。
クライアントは、その刑務所に収容されている受刑者の若者だそうです。重犯罪を犯して服役しているということと、うちの娘よりもはるかに若いということしか私は知りません。守秘義務がありますのでね、何も教えてもらえません。
初めて刑務所に行った時には、やはり緊張したそうです。娘は、知的障害のある性犯罪者の収容施設(病院みたいなところ)で研修をしたことがありますが、刑務所のセキュリティーレベルは別次元だったそうですよ。来訪者が刑務所内に入るためには、厳重で細かい検査がたくさんあって大変だったと言っていました。そりゃあまあ、そうでしょうね。
今週は、いつものように刑務所内には入ったもののクライアントの若者の体調不良でセッションは急遽キャンセルになったそうですが、来訪者達が待っている部屋に探知犬を連れた検査官が突然現れて、すべての来訪者達が1列に並ばされて検査が始まったんだそうです。
何を探していたのか娘には分からなかったそうですが、おそらく麻薬でしょうね。
探知犬は、うちの娘のすぐ隣りに立っていたアジア人の男のところで突然興奮して、男に飛びつき始めたそうですよ。その男は別の係官から理由を説明された後、別室に連れて行かれたそうです。ちなみに、探知犬は娘の前は素通りだったそうです。
抜き打ちで時々こういうのをするようですよ。刑務所にこっそり麻薬を持ち込もうとお考えの皆さん、それは簡単ではありませんから止めといた方がいいです。
現在、その刑務所でのクライアントは1人だけだそうですが、再来週から1人増えるそうです。
刑務所では、受刑者は必要に応じた医療が受けられることはよく知られたことですが、受刑者のメンタルヘルス問題は深刻だと聞きます。知的障害を含む精神障害の割合は高いそうですしね。
受刑者達の社会復帰支援のためには、臨床心理士や精神科医によるメンタルヘルスケアが重要だと思いますけど、いずれにしても莫大な税金が使われているのでございますよ。
私はいつも思うんですけど、真面目に頑張って働いていても、貧困のためにこうした医療が十分に受けられない人達もいるわけですからね。そこのところの矛盾を改善してもらいたいと思わずにはいられません。
お帰りの前に1クリックを!

0 件のコメント:
コメントを投稿