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2025年7月3日

ディストピア小説「1984」の舞台

うちの夫が勤めるツールショップの同僚であり親友でもあるCさんのことは、度々このブログで話題にしています。モルモン教徒のCさんは、運転が出来なくなったうちの夫を長年サポートしてくださっていて、私達が引っ越した時には本当に親身になって手伝ってくださいました。

Cさんのお母さんはとても良い方ですし、一時は私もCさんとCさんのお母さんとは家族付き合いを始めたこともあるんですよ。Cさんのお父さんのお葬式にも行きました。その時に知り合ったCさんのパートナーさんも感じの良い方でしたし。

しかしね、

何事も「過剰」は問題なんですよ!

夫は仕事が休みの土曜日の午前中はいつもCさん家族と過ごすようになり、Cさん家族が何かする時やどこかに行く時に夫を誘ってくださるもんだから、夫もそれに参加するようになりまして。

もちろん私も誘ってくれるんですけど、私はCさん家族と一緒じゃあなくて私達二人で出かけたいわけですよ。しかし二人だけで出かけることはほとんど無いんです。

何をするにもCさん達が一緒で、Cさん家族のことばかり聞かされて、いい加減うんざりし始めていた頃に私の父が亡くなりましてね、その時に耐え難い経験をしたのですよ。

お葬式の後、複雑な感情があって一人で泣いていた私を放ったらかして、夫はCさん家族と一緒に睡蓮のガーデンパークに遊びに行ってしまいました。あの時のことは「思考回路が普通じゃない人」に書きましたけど、うちの夫に対して感じた失望や悲しみや不満や怒りといったものとCさん家族とがリンクしてしまいましたからね、私はもうCさん家族と一緒に何かする気にはならないのです。

うちの夫とはもう30年以上一緒にいますが、私達は二人でコンサートとか観劇とかに出かけたことなど無かったんですよ。夫がそういうのに興味が無かったからですけど、Cさんに誘われると喜んで行くんです。

誘われる度に私も一緒に行きたいかと聞いてくれますが、ジョージ・オーウェルの「1984年」(Nineteen Eighty-Four)を原作とする舞台を観に行くのに誘われた時には、速攻で断りました。


久しぶりに仕事が休みだった昨日、夫はその昼公演を観に行ったんです。もちろんCさん家族と一緒に。


私がこの舞台を観に行くのを断ったのは、またCさん家族と一緒だというのも理由ですけど、その舞台がジョージ・オーウェルの「1984年」が原作というのも理由です。

皆さん、ジョージ・オーウェルをご存知ですか?

英国の作家です。ディストピア小説で有名で、その代表的な作品が「1984年」なんです。「ディストピア」という言葉をご存知ではない方のためにちょっと説明しますと、「ディストピア」とは「ユートピア」(理想郷)の対義語で、反理想郷とか暗黒社会を意味する言葉です。

人々が惨めで恐ろしい生活を送っている非人間的な社会を思い描いてみてください。人々が管理され監視され、多くの不公平や不道徳なことが起こる、不幸と抑圧が支配する最悪の社会です。「ディストピア小説」というのはそういう架空の世界を描いているんですけど。

架空ではなくて、実際にそのような社会が存在したことがありますし、現在も存在していますよ。独裁的な政治が行われている全体主義国家では、体制を批判するようなことをうっかり口にすると、たちまち当局に知られて逮捕されて拷問を受けたり監獄に入れられたりする…そんな国があるでしょ?

「1984年」という小説は、とにかく気分が悪くなるようなことばっかり起きて、最後までいいことは何も起きず、希望も何も無い結末を迎えるという、非常に胸クソが悪くなるストーリーなのでございます。

もちろんそのストーリーは、現代の自由社会に警鐘を鳴らしているわけで、読者は考えさせられることが多いのでしょうけど、私はこういう話を見たくも聞きたくもないのですよ。ましてや、悪い感情とリンクしてしまっているCさん家族と一緒になんて、メンタルヘルスに悪いでしょ?

舞台「1984年」は7月6日までメルボルンのコメディシアターで上演されて、次の週からはオーストラリア各地の街で上演されます。出演俳優は5人だけだそうですよ。登場人物が5人なのか、一人で何役もやっているのか私は知りませんけど。

高評価を得ているようですが、ストーリーがストーリーですからね、観劇後は気分が沈みます。

家に帰るなり気が滅入るような話を始めた夫を遮って、私は「平和で自由で民主的な現代のオーストラリアに暮らしていることを喜びましょう」と言っておきました。

この国にも問題はいろいろありますし、暗い歴史もあるんですが、これだけ多くの様々な異なる人種民族で構成された国であっても、自由な民主主義社会として何とか上手く行っていますし、より良い方向に変化し続けていると私は思っています。


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