オーストラリアは、知る人ぞ知る「ハンカチ後進国」です。
ハンカチを持ち歩く習慣が無い人が多いのですよ。ポケットティッシュすら持ち歩いていません。手を洗ったらドライヤーで乾かすかペーパータオルを使いますからハンカチが必要無いのは分かりますけど、汗を拭いたりはどうするんでしょうか。
需要が無いのでデパートのようなお店でも売っていませんから、ハンカチを売っているお店を見つけるのに苦労します。運良く見つかってもろくなハンカチはありません。無地か小さな花柄か刺繍付きか、そういうのしか無いです。
紳士物なら割と簡単に手に入ります。ビジネスマンの皆さんにとってポケットにハンカチを持っていることはエチケットのようですからね、デパートの紳士服売り場に行けばを紳士物のハンカチは売っています。
そんなオーストラリアですが、今年もまた人々がハンカチを持ち歩く季節がやって来ましたよ。
今は冬ですからね、風邪を引く人が増えるでしょ?風邪をひくと鼻水が出ます。人々は鼻水を拭いたり、もっと言うと鼻をかむために、ハンカチを持ち歩くのでございます。
昨日買い物に行った時に何人も見かけたんです。ポケットや服の袖口からシワシワになったハンカチを取り出して、ブブーと音を立てて鼻をかむ人々を。全員が白人の高齢者でした。
これはねえ、ホントにもう、私がオーストラリアに住み始めた頃のカルチャーショックの一つだったんです。このブログで何度も話題にしましたけど、私にはハンカチで鼻をかむということが理解し難いことでしたから。
しかも、鼻をかんで濡れたハンカチは、くしゃくしゃと丸めてポケットや着ている服の袖口の中に戻すんですよ。そして再び取り出して何度も使うのです。濡れていない部分を探しながら。
繰り返し使っているとハンカチはどんどんしわくちゃになって行きます。しわくちゃになったハンカチは鼻水で濡れているんですから、それが乾くとカリカリになるんです。こういう状態になったハンカチを「クランチーハンキー」(Crunchy Hankie)と呼びます。「カリカリのハンカチ」と言う意味です。
うちの夫は、カリカリになって丸まった状態のハンカチを洗濯機にポイッと入れていたんですけど、
これが私には耐えられなかった!
貴方ね、他人の鼻水(あるいは鼻汁)でカリカリになったハンカチを自分の服や下着と一緒に洗えます?私は一緒に洗いたくなかったから、お湯につけてカリカリの鼻水を柔らかくして(うわあ気持ち悪っ!)、もう大丈夫と思えるまで手洗いしてから洗濯機に入れていた時期もあるんですが、そんなことをするのは止めたんです。私がする仕事じゃあないでしょう?
手洗いするのも気持ち悪いのよ。何でこんなことを私がしなくちゃあいけないの?
そこで、私は夫に言い渡したんですよ。カリカリになったハンカチは自分で手洗いしてから洗濯機に入れろと。自分で洗わないなら捨てるとも言いました。実際にカリカリになって丸まったやつを捨てたことが何度もありますよ。
そのせいかどうかは知りませんが、夫は私のようにティッシュを使うようになりましたから、「クランチーハンキー」に遭遇することはなくなったんですけど。
この「ハンカチ鼻かみ文化」は、親から子へ、そして孫へと代々伝わりますからね、私が教えていた小学校でもハンカチで鼻をかむ子はいましたよ。小さな子供が制服の袖口から取り出したハンカチで鼻をかんだ後、くしゃくしゃと丸めて袖の中に戻しているのを見て、「文化というのはこのようにして伝わって行くのだ」と感心したものです。
うちの夫だって母親から学んだのです。夫の母は今でもハンカチで鼻をかみます。使ったハンカチは袖口に入れておく派です。そういうのを目の前で見ても、私はもう何とも思いません。「おお、やってるやってる」と思うだけです。
多民族社会のオーストラリアでは、もちろんハンカチで鼻をかんだりしない人は多いですよ。でも、ポケットティッシュを持ち歩いている人もあまりいないんだから、皆さんどうやっているんですかねえ。
ちなみにハンカチ鼻かみ派の皆さんの中には、洗って何度も使えるハンカチはティッシュよりも環境に良いという意見があります。でも、衛生面のことを考えてご覧なさいよ。鼻水には細菌やウイルスが含まれているんですからね、使い続けてしわくちゃになっているハンカチはヤバい状態なんです。
あれを親子で共有したりしているのも見かけますけど、つまりお母さんが使ったやつで子どもの鼻も拭いていたりするんだけど、細菌やウイルスも共有しているってことじゃあないの?
まあとにかく、うちの夫の家族が先祖代々引き継いで来たこのハンカチ鼻かみ文化は、夫の代で終わりです。
お帰りの前に1クリックを!

0 件のコメント:
コメントを投稿